矯正歯科の治療方針や抜歯する必要性は?

~適切な治療方針を立てる~

初診で一見して治療方針が決まるほど、不正咬合は単純ではありません。適切な治療方針を立て、使用する矯正装置を決めるには、患者さんひとりひとりの不正咬合の状況について十分に精密検査をし、その資料を分析して診断しなければなりません。

~適切な診断のためには、十分な精密検査がひつよう!~

【患者さんひとりひとりの状況を確認】
初診で一見して治療方針が決まるほど、不正咬合は単純ではありません。適切な治療方針を立て、使用する矯正装置を決めるには、患者さんひとりひとりの不正咬合の状況について十分に精密検査をし、その資料を分析して診断しなければなりません。
実際には矯正歯科ごとに多少の違いはありますが、通常におこなわれている初診・相談、精密検査のおおよそは、次のようなものです。
●初診・相談●
①まず、どこを治したいのか、どんな理由で来院したのか、通院できるかなどをたずねます。
②指しゃぶり、舌のくせ、口呼吸、アレルギー、扁桃肥大などの有無をたずねて、確認します。
③両親や兄弟に同じような症状があるかとうかをたずねて、確認します。
④歯や口の中の診察~不正咬合の状態、むし歯や歯周病の有無、歯磨きの技術などを確認します。
●精密検査●
⑤レントゲン(エックス線)写真~通常3種類のレントゲン写真を撮ります。
○頭部エックス線規格写真・・・外見からでは分からない、頭に対するあごの位置や大きさ、上あごと下あごの位置的関係、歯とあごの関係、歯の傾き具合などを調べます。側面と、必要ならば正面を撮ります。
○パノラマエックス線写真・・・全部の歯を1枚におさめた写真。これから生えてくる歯も含めて、歯や歯槽骨、顎関節の状態などをチェックします。
○歯のエックス線写真・・・部分的により正確に確認するための写真。
⑥顔口の写真~口の中のようすと、顔の写真(正面・横顔など)を撮ります。治療が完了したときに、これで変化(治療効果)を確認できます。
⑦歯型~石膏で歯並びの模型を作り、不正咬合の状態を立体的に確かめます。
⑧あごの関節の形や位置に問題があると考えられた場合には、あごの関節などのレントゲン写真を撮ります。また、必要な場合には、あごをいろいろな位置に動かしたときに、どのように動くかの顎機能検査をしたり、あごの筋肉の動きを検査する筋電図をとることもあります。

【診断と治療方針の決定】
以上のような資料を分析して診断し、どのような治療をするのか、治療方針を決定します。歯を抜く必要があるかどうかも、この時点でわかります。
治療方針に基づいて、患者さんにおよその治療の流れや必要な期間、料金の概略の説明が行われます。

~歯が綺麗に並ぶには、スペースが必要~

【歯を抜くのは、矯正歯科治療の重要な手段】
「歯を抜かずに治したい」という希望は、だれでも持っています。確かにむし歯でもない健康な歯を抜くことには、抵抗感があるでしょう。
しかし、あごの成長が期待できる小児期は別にして、日本人では、半数以上の患者さんが歯を抜かないと治せません。
矯正歯科治療とは、「歯を少しずつ動かしたい方向に移動させ、よい咬み合わせときれいな歯並びをつくる治療」です。
歯が動いてきれいに並ぶには、それ相応のすき間が必要になります。これが矯正歯科治療に抜歯が必要な理由です。

【歯を抜いて治療する一般的なケース】
矯正歯科治療で歯を抜くのは、次の3つの理由が考えられます。
①歯の大きさに対してあごの骨が小さく、歯がデコボコになっている場合(叢生)。
この場合は、歯列やあごを拡げるか、歯の数を減らして(抜歯)あごの大きさに合わせるか、どちらかの治療法を取ります。
成長期の子供は、歯列やあごの骨の発育を刺激しながらあごを拡げる治療法もありますが、成長が止まって、あごがこれ以上大きくならない場合は、歯を抜くことが多くなります。
②上下の前歯が前方に傾斜したり、上下のくちびるが前方に出ていて、口が開いている場合(上下顎前突)。
上下の前歯があごの骨に植立し、口元が引っ込んでスムーズに閉じるようにするには、歯を抜くことが必要になります。
③いわゆる出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)で咬み合わせが悪い場合や、上下のあごが前後にずれている場合など。
このような場合、口元の形を整え、咬み合わせをよくするために歯を抜くことがあります。

【歯を抜くのは通常4本】
抜歯は特殊な場合を除き、咬み合わせがくずれた り、正中線がずれたりしないように、咀嚼に一番影響が少ない歯(小臼歯が多い)を上げ左右各1本ずつ、計4本抜くのが基本です。
ところで、無理をして歯を抜かずに矯正歯科治療をしても、歯が動かした位置に、長期間ずっと安定した状態でとどまってくれる可能性が低くなります。
やはり必要な抜歯は行ったほうがよい結果を得られ、口元の印象も大きく変えることができると思います。
例えばこんな例があります。
「どうしても歯を抜きたくない」と歯を抜かずにスタートした患者さんと、1年半ほどたった時点で何回も話し合い、同意を得て上下左右4本の歯を抜きました。さらに2年間矯止装置をつけ、以後に装置を外した日、その患者さんの言葉は「こんなに口元がきれいになるとは思いませんでした。治療前の写真は、全てこの世に存在しなかったことにして!」でした。
患者さんが、矯正歯科治療をして本当によかったと思う瞬間です。

~インフォメーション~


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