不正咬合の原因とは?そのままにしておくと?!

~遺伝との影響とは?~

不正咬合の原因を探ってみると、そう単純なものではありませんが、1つには子どもの顔や体形が親に似るように、遺伝的な影響が考えられます。歯や歯周組織への影響が、まず心配です。

~現代人のあごが小さくなっているのも原因のひとつ~

【遺伝の影響】
例えば親が受け口であれば、子どもがパパ似かママ似になって、受け口になりがちだということはいえるでしょう。
こうした遺伝との関係を語るものとして、ヨーロッパの名門ハプスブルグ家の、何代にもわたる突き出た下あごの形(下顎前突)が挙げられます。
また、生まれつき歯の数が足りない先天性欠如や歯の奇形にも、遺伝の影響が考えられています。

【歯が並ぶスペース「あご」の問題】
生まれてからの環境が原因になる1つとして、歯が並ぶあごの大小によるものがあります。
つまり、歯に対してあごが大きいと、歯と歯の間にすき間ができてすきっ歯になり、逆にあごが小さくて歯がきれいに並びきれないと、デコボコした歯並びになります。
戦後、日本の食事が大きく変わりました。ハンバーグやポテトサラダに代表されるような、かまなくてよい料理(飲食)が増えた結果、近年子どもたちのあごが十分に発育せず、小さくなってきています。
一方、歯は大きくなる傾向にあり、小さいあごに大きい歯が並びきれなくて、子どもたちの歯並びが悪くなりました。このことは今、多くの歯科医が心配している問題で、かむ回数を増やす食事が望まれているのです。

【むし歯による影響】
むし歯、とくに乳歯のときのむし歯も、歯並びに影響を与えます。意外に知られていませんが、乳歯は永久歯がきちんとした位置に生えてくる道案内役です。それがひどいむし歯になっているのを放置したり、抜歯してすき間ができていたりすると、永久歯が正しい位置に生えてこれず、斜めに生えたり、ずれて生えたりすることがあります。歯並びが悪くなるだけでなく、咬み合わせも狂いがちです。
いずれにしても、歯には皮膚のように自分の力で傷を治す力はありません。乳歯のうちからきちんと歯みがきをする習慣をつけ、早めにむし歯を治療して、永久歯になったときに、悪い歯並びにしない注意が必要です。

【口呼吸や生活上の悪いくせ】
例えばアレルギー性鼻炎や扁桃肥大などで、口呼吸をするために起きると考えられる不正咬合もあります。いつも口を開けていると、歯をくちびるで押さえる力が弱くなって舌の位置が変わり、歯を押すなど筋肉のバランスが崩れて、すきっ歯や出っ歯の原因になることがあります。
生活上のくせとしては、例えば幼児期に指しゃぶりを長く続けていると、指で押す力が歯を動かし、開咬や出っ歯の原因になります。また、おしゃぶりも三歳頃までであれば、あまり問題はないのですが、長く使用していると、出っ歯や奥歯の交叉咬合になることがあります。幼児が眠たいときや退屈なときのおしゃぶりは「安心感を得る」効果はありますが、静かになるという理由で親が安易に与えるのはよくありません。
前歯で下くちびるや舌をかむくせ、ハンカチをかむくせなども開咬につながり、片方ばかり頬づえをつく習慣を続けると、下あごをゆがめることがあるので、お父さん・お母さんの注意が望まれます。

~不正咬合をそのままにしておくと~

【むし歯や歯肉炎(歯周病)になりやすい】
不正咬合は、心と体にさまざまな影響を与えます。
まず考えられるのは、歯みがきが隅々まで行き届かずに、むし歯や歯肉炎になりやすくなることでしょう。また、人はだ液を分泌することで、自然に歯の汚れを落としています。歯がデコボコの人は、自然なだ液の流れが損なわれるために、むし歯や歯肉炎にいっそうなりやすいといわれています。
歯肉炎とは、風邪を引いてのどが赤くはれたような状態が歯ぐきに起きる症状で、さらに進むと歯周病になる可能性があります。
また、かむ作業に参加しない歯があることで、他の歯への負担が大きくなり、歯を傷める心配も見逃がせません。

【よくかめないことによる全身的な影響】
よくかめることは健康の基本です。
食べものがよくかめないと胃に負担がかかる上に、だ液の出も少なくなり、だ液中に介まれている消化酵素が働けずに消化力が弱くなります。
また、かみごたえや歯ざわりが十分に味わえず、食べる楽しみも半減します。
一方、スポーツ選手などは、奥歯をギュッとかみしめることによって、瞬発力や集中力を高めます。
成人男子では、臼歯部で、およそその人の体重に相当する50~70kgの力を出すことができることがわかっています。十分にかめない人は、その力を発揮することができません。

【歯が折れたり、粘膜を傷つけやすい】
歯並びがデコボコだったり八重歯が生えていたりすると、歯が粘膜や歯肉に当たって、傷をつけてしまうことがあります。
例えば、子どもが転んで、上の前歯を折ったり、歯が抜けてしまったりすることがあります。とくに出っ歯の歯並びの場合は、注意する必要があるでしょう。

【将来的な歯科治療への影響】
歯並びを悪いまま放置しておくと、将来的に歯が なくなったとき、ブリッジをかけたり義歯を入れる などの歯科治療がきちんとできないことがあるということも、忘れてはならないことでしょう。
その他、咬み合わせがずれていたり、奥歯がないと、肩こりや頭痛などの原因のひとつになることもあります。

~インフォメーション~

↑ PAGE TOP